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Lilya Zilberstein


  LISZT RECITAL - Lilya Zilberstein

【邦訳タイトル】リスト・リサイタル
【演奏者・録音】リーリャ・ジルベルシュテイン 1995年
【カタログ番号】Grammophon POCG-1946(国内盤)  
 1. 伝説1番 小鳥に語りかけるアッシジの聖フランチェスコ(リスト)
 2. 伝説2番 波を渡るパオラの聖フランチェスコ(リスト)
 3-8. コンソレーション1~6番(リスト)
 9. バッハの主題による幻想曲とフーガ S.529(リスト)
 10. バラード2番(リスト)
 11. 忘れられたワルツ1番(リスト)
 12. 即興曲 S191(リスト)


 ラフマニノフ前奏曲集でのだらしのない離鍵とペダリングのイメージが強く印象に残っていますが、リスト集ではそうしたキレの悪さが前面に出ておらず、完成度は高めと評価してよさそうです。伝説の演奏では2番に定評があるようですが、個人的には1番のサッパリした解釈に好感を覚えます。コンソレーション、幻想曲とフーガ、バラード、いずれも沈滞しすぎることがなく、ツボを押さえた演奏です。左右の調和、唸るアレグロへの駆け上がりなど、マクロのアーティキュレーションに不足感はありません。
 ただ、メロディラインの歌い方が(悪い意味での)職人芸に凝り固まっているので、奏者の生声に近いような息遣いを感じるような奥深さが全くありません。ジルベルシュテインに限ったことではありませんが、ダイナミックをコントロールすることには習熟していても、その枠内でさらに繊細に表情を付けられるピアニストが減ってきているように思います。洗練された強音はもちろんですが、弱音部分でのじっくりとした音色の変化、ちょっとしたペースの変化を再現できる仔細な表情を求めたいところ。遊び心を排してリストの演奏に臨むことは、実に難しいことだと思います。(輸入廉価盤での再販あり:ドイツグラモフォン476 2463)。

 




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