Fubuki plays liszt La campnella
【邦訳タイトル】吹渉樹・プレイズ・リスト ラ・カンパネラ
【演奏者・録音】矢島吹渉樹 2007年
【カタログ番号】ブレーメンハウス BHMST-0010(国内盤)
1. 「白鳥の歌」7番 セレナード「ひそかに祈る」 S.560-7(シューベルト=リスト)
2. パガニーニ大練習曲3番「ラ・カンパネラ」(リスト)
3. 愛の夢3番(リスト)
4. 超絶技巧練習曲10番(リスト)
5. コンソレーション1番(リスト)
6. コンソレーション2番(リスト)
7. 超絶技巧練習曲4番「マゼッパ」(リスト)
8. 詩的で宗教的な調べ6番 眠りから覚めた御子への賛歌(リスト)
9. ハンガリー狂詩曲6番(リスト)
10~12. 詩的で宗教的な調べ3番 孤独の中の神の祝福(リスト)

国内若手としては珍しく、慎重でいてリラックスした演奏です。片時も審査員や聴衆の耳を離すまいとする緊張した間合いが主流の国内コンクールではほとんど聴かれない演奏です。
ただ、全体の統一感という意味では奏者の解釈を読み取りにくいかもしれません。セレナーデやカンパネラでゆったりとした弾きぶりを見せたかと思うと、超絶技巧練習曲10番では大胆な攻めの姿勢を見せます。愛の夢も、ふと紛れ込んでくるパッセージが驚くほど無表情であったりして、個性的です。選曲もさることながら御子への賛歌は良い塩梅に作品の全体像がまとまっていて、このアルバム一番の聴きどころと言えます。メカニック上の制約からかマゼッパやハンガリー狂詩曲6番は安全運転の域を出ませんが、音色の変化や低音部の露出には貪欲で、安定した仕上がりです。孤独の中の神の祝福はフォルテ以上になると声部が埋もれてしまいます。恐らく、録音による全体の響きの最終確認をあまりしていないためか、結果として鳴っている響きが奏者の意図しているそれではないような印象があります。ベーゼンドルファーを使用しているのですが、これも最良の選択かどうかは微妙です。総じて、今ひとつ奏者の良さが引き立たないのが残念です。
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