Liszt : Piano Sonata in B Minor, Grandes Études de Paganini etc.
【邦訳タイトル】ソナタロ短調、パガニーニ大練習曲他
【演奏者・録音】アンドレ・ワッツ 1970年、チャールズ・ローゼン 1963年
【カタログ番号】SONY SBK62664(輸入盤)
1-3. ソナタ ロ短調(リスト)
4-5. パガニーニ大練習曲1番(リスト)
6. パガニーニ大練習曲2番(リスト)
7. パガニーニ大練習曲3番「ラ・カンパネラ」(リスト)
8. パガニーニ大練習曲4番(リスト)
9. パガニーニ大練習曲5番「狩り」(リスト)
10. パガニーニ大練習曲6番(リスト)
11. 「ドン・ジョヴァンニ」の回想(モーツァルト=リスト)
12. ハンガリー狂詩曲10番(リスト)

パガニーニ練習曲とソナタに関してはEMI版から遡ること15年前。ブライトで生音に近い当Sony版と、高音域の雑音を極力抑えたEMIの録音では単純に比較するのは難しいのですが、ワッツの専売特許であるバネ、しなやかさや瞬発力のあるアーティキュレーションの作法は明らかに発展途上で、EMI版での冠絶ぶりが引き立ってしまいます。単純なミスタッチという点においても今ひとつの習熟度です。もちろん若さがあって勢いを感じるのですが、主声部がボヤけたり、ベタっとフレーズをつなげてレガートにしてしまったりと、EMI版を超える美点を見つけるのは難しいかもしれません。
カップリングはアメリカ生まれのチャールズ・ローゼンによる録音。ヨーゼフ・ホフマンの演奏に影響を受けており、手にとるようにその敬愛ぶりがわかる小気味の良さです。薄めのペダルに軽快なスタッカート、そしてピアノ黄金期を思わせる俊敏な指周り。若干フォルテに力不足を感じますが、美しいピアニッシモを持っていてダイナミックは十分です。ワッツと言うよりも、ローゼンの演奏を楽しむ一枚という方が正しいかもしれません。
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