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Anatoly Vedernikov


  LISZT, RAVEL & FRANCK - Anatoly Vedernikov

【邦訳タイトル】リスト、ラヴェル、フランク
【演奏者・録音】アナトリー・ヴェデルニコフ 1953~1976年
【カタログ番号】DENON COCQ-83965(国内盤) 
 1.ローレライ S532(リスト)ヴェデルニコフ1969
 2. メフィスト・ワルツ1番(リスト)ヴェデルニコフ1969
 3. 巡礼の年第3年4番 エステ荘の噴水(リスト)ヴェデルニコフ195
 4. 水の戯れ(ラヴェル)ヴェデルニコフ1953
 5. 組曲「クープランの墓」1番 前奏曲(ラヴェル)ヴェデルニコ1976
 6. 組曲「クープランの墓」2番 フーガ(ラヴェル)ヴェデルニコフ1976
 7. 組曲「クープランの墓」3番 フォルラーヌ(ラヴェル)ヴェデルニコフ1976
 8. 組曲「クープランの墓」4番 リゴードン(ラヴェル)ヴェデルニコフ1976
 9. 組曲「クープランの墓」5番 メヌエット(ラヴェル)ヴェデルニコフ1976
 10. 組曲「クープランの墓」6番 トッカータ(ラヴェル)ヴェデルニコフ1976
 11. 前奏曲、フーガと変奏曲 Op.18 (フランク=ヴェデルニコフ)ヴェデルニコフ1967


 ヴェデルニコフのスクリャービン前奏曲集(COCQ-83660)で力量の高さに感服していただけに、今回この選集の復刻は自分にとって非常に嬉しいものでした。
 ただ、今回は豊かな音色コントロールが迫ってくるような録音集ではありません。ローレライでは濃密なシンコペーションが聞けますが、メフィストワルツはむしろ豪快なテンポの変化に耳を奪われます。スローテンポに始まり、各プレストへとためらいなくテンポアップするのはロシアンピアニズムの面影でしょうか。一方で、エステ荘の噴水は意外にもノンペダル&スタッカート多用の淡白な表現です。録音の関係もありますが、実に質素。かと思えば、水の戯れは標準的なペダル使用量です。ヴィルトオーゾに特有の一種の忙しなさが「戯れ」のイメージを掻き立てるので、妙にシックリきます。クープランの墓は遅めのフォルラーヌ、速めのメヌエットなど、スタンダードな解釈からは若干の違和感を感じますが、決して派手でない音色でブライトな印象を与える不思議な演奏です。フーガと変奏曲はこちらも録音に恵まれていません。
 収録年代に幅があるので、全体的につかみどころが今ひとつですが、ヴェデルニコフの実力に迫るためには必携です。

 




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