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Tsuda Michiko


  LISZT ET LA NATURE - Michico Tsuda

【邦訳タイトル】自然とリスト
【演奏者・録音】津田理子 1993年録音
【カタログ番号】Cypres CYP5616(輸入盤) 
 1. 巡礼の年第1年1番 ウィリアム・テルの聖堂(リスト)
 2. 巡礼の年第1年2番 ヴァレンシュタットの湖畔で(リスト)
 3. 巡礼の年第1年3番 田園曲(リスト)
 4. 巡礼の年第1年4番 泉のほとりで(リスト)
 5. 巡礼の年第1年5番 嵐(リスト)
 6. 巡礼の年第1年6番 オーベルマンの谷(リスト)
 7. 巡礼の年第1年7番 望郷 (リスト)
 8. 巡礼の年第1年8番 ノスタルジア(リスト)
 9. 巡礼の年第1年9番 ジュネーヴの鐘(リスト)
 10. 伝説1番 小鳥に話しかけるアッシジの聖フランチェスコ (リスト)
 11. 伝説2番 波を渡るパオラの聖フランチェスコ(リスト)


 欧州に活動の拠点を置くピアニスト。同レーベルへの録音はヒナステラやショパン、シューマンなど。レパートリーはロマン派を中心に幅広いようです。
 一枚を通して聞く限りは当たり障りのない中道的な感じですが、よくよく耳を澄ますとちょっとした個性をのぞかせる演奏ばかりです。泉のほとりでや嵐における難所では多少のバタつきがあり、タッチのキレやダイナミックの振幅もいまひとつですが、洗練された印象と引き換えに確実に訴えかけてくるものがあります。一つは行き届いたペダリングと自然的なレガートの融合。単純な勤勉さでは紡ぎ出せない豊かな伸び=響きの特性を活かしきる音色のレトリックに優れています。ジュネーヴの鐘は、ふとボレットの響きを思い起こさせます。また、時折顔をのぞかせるピアノの生生しい音も重要なポイントです。録音の関係もあると思いますが、ある程度の金属的な音を無理に押さえ込まない感覚は、個人的に支持したい部分です。男性ピアニストのひたすら巨大なフォルティシモも悪くありませんが、打弦楽器としての泥臭い使命を感じさせるフォルテも感慨深いものです。

 




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