RAKHMANINOV, CHOPIN, LISZT - David Tong
【邦訳タイトル】ラフマニノフ、ショパン、リスト
【演奏者・録音】デヴィッド・トン 2003年
【カタログ番号】MELBA Recording MR301086(輸入盤)
1-3. ソナタ2番 1~3楽章ラフマニノフ)
4. 前奏曲 Op.23-5((ラフマニノフ)
5. 前奏曲 Op.32-5(ラフマニノフ)
6. スケルツォ3番ショパン)
7. 練習曲 Op.10-1(ショパン)
8. 巡礼の年第2年補遺1番 ゴンドラをこぐ女(リスト)
9. 巡礼の年第2年補遺2番 カンツォーネ(リスト)
10. 巡礼の年第2年補遺3番 タランテラ(リスト
11. メフィストワルツ1番(リスト)
12. 超絶技巧練習曲8番「狩り」(リスト)

マカオ生まれの新鋭ピアニスト。5歳より本拠をオーストラリアにしているということもあり、ライナーノーツはレスリー・ハワードによって書かれています。
若手演奏家の面目躍如たる思い切りの良さが光っています。適度な重量感を持つオクターブと自在に変化するテンポ。ラフマニノフのセンチメンタルな音の嵐も鷲掴みにするような圧倒的な鍵盤支配力。ただの筋力的テクニックではなく、卓越したレガートやベルカント、瑞々しい装飾音や作為的な無音部の工夫など、その雄弁さは"ポスト・ベルマン"と呼んで差し支えないレベルです。また、強靭なメカニックを踏み台にした小波のように断続的に繰り返すダイナミックコントロールが特徴的で、タランテラ、メフィストワルツ、超絶技巧練習曲と続くヴィルトオーゾピースで惜しげなく投入されています。爆速のOp.10-1、勇壮なスケルツォ3番もゾーンを広く保った振幅の大きい演奏です。ヴィルトオジティを前面に押し出したスケールの大きい演奏というのはアクの強さと表裏一体なので、そのしつこさを敬遠する人も多いかもしれませんが、せっかくロマン派を嗜むならば、このくらいのスケールを誇る演奏がもっと身近であっても良いなと、思わず欲が出てしまいます。ちなみに目を皿のようにして見ても、赤と青のコントラストを引いた奇抜なジャケットのセンスには理解が及びません。
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