La Ringrazia - Masataka Takada
【邦訳タイトル】高田匡隆・ピアノリサイタル
【演奏者・録音】高田匡隆 2009年録音
【カタログ番号】fontec FOCD20076(国内盤)
1. ソナタ K.9(スカルラッティ)
2. ソナタ K.119(スカルラッティ)
3. ソナタ K.141(スカルラッティ)
4. パガニーニ大練習曲1番(リスト)
5. パガニーニ大練習曲2番(リスト)
6. パガニーニ大練習曲3番「ラ・カンパネラ」(リスト)
7. パガニーニ大練習曲4番(リスト)
8. パガニーニ大練習曲5番「狩り」(リスト)
9. パガニーニ大練習曲6番(リスト)
10. ペトルーシュカからの3楽章1番 ロシアの踊り(ストラヴィンスキー)
11. ペトルーシュカからの3楽章2番 ペトルーシュカの部屋 (ストラヴィンスキー)
12. ペトルーシュカからの3楽章3番 謝肉祭の市場(ストラヴィンスキー)
13. コンソレーション3番(リスト)
14. ハンガリー狂詩曲6番(リスト)

スカルラッティのソナタはピアノの特徴を引き出すためにニュアンスを大切にしています。過剰な演出はない点で、ペライアの解釈を彷彿とさせます。ペトルーシュカも鍵盤上の冗談のように指を転ばすのではなく、高度なダイアログとしての展開です。露出度の低い技巧性、遊び心のない閑雅さ。ストラヴィンスキーやルービンシュタインが聴いたらなんと表現したことでしょう。パガニーニ大練習曲は貫禄という点ではピカ一ですが、基礎テンポが遅滞し、非常に粘性の強いタメが容赦なく入ります。特に3番、6番は息つく暇も許さないといった具合に精妙な演出で固められています。フレージングに脈づくダイナミズムはハイセンスですが、全体を通して流れが悪いです。
約1年前に聴いたリサイタルの演奏はあまりに素晴らしいものでした。やはりどんなアーティストでも音源に対する過大な期待は禁物。録音のための録音ではなく、ライヴ盤を出して欲しいと切に願うところです。
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