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István Székely


  Liszt : Paraphrases on works by Russian composer - István Székely

【邦訳タイトル】リスト:ロシア人作曲家の作品に基づく編曲集
【演奏者・録音】イシュトヴァン・セーケイ 1985年
【カタログ番号】Hungaroton HCD 12767(輸入盤)
 1. 「ルスランとリュドミラ」よりチェルケス行進曲(第2版) S.406ⅱ(グリンカ=リスト)
 2. アラベスク1番 ナイチンゲール S.250-1(アリャビエフ=リスト)
 3. タランテラ S.483(ダルゴミジスキー=リスト)
 4. ヴォロニンスの落穂1番 ウクライナのバラード S.249-1(ドゥム=リスト)
 5. 「エフゲニー・オネーギン」よりポロネーズ S.429(チャイコフスキー=リスト)
 6. 2つの歌曲2番 アシュラ S.554-2(ルビンシュテイン=リスト)
 7. 2つの歌曲1番 おお、永遠にこうしていられれば S.554/1(ルビンシュテイン=リスト)
 8. かつては~ロマンス(第2版) S.577ⅱ(ウィルホルスキー=リスト)
 9. 別れ S.251(リスト)
 10. タランテラ S.482(キュイ=リスト)


 リストマニアの間でも滅多に話題に上らないような作品たちが、まるで「リスト名曲集」と銘打たれた一枚かのように燦然と輝いています。奏者はナクソスに数枚ショパンの録音を残していますが、身振りの大きな作品を実直に捉え、小気味よくキビキビと突き進むスタイルは、この選曲にて特に賞賛すべきものに思えます。
 ベーゼンドルファーを駆使した、円やかでかつ歯切れのよいオクターブ奏法。打鍵に暖か味があり、音色の美しさにグイグイと吸い込まれます。ルスランとリュドミラの行進曲は繰り返しが多く、普通に上手くまとめてものっぺり聴こえてしまいがちですが、セーケイの超絶的なメカニックに基づくハイテンションなテンポにかかるとそのクドさが病み付きになります。ナイチンゲールエフゲニー・オネーギンも快速で、原典的な美しさを保持したままの派手すぎない飾り気が引き立っています。ルビンシュテインの歌曲ウィルホルスキーのかつてはは表現域が狭く、やや単調ですが、最後のキュイのタランテラできちっと締めてきます。国内でもこのくらいのプログラムでリストの布陣を張るピアニストがいると嬉しいのですが…。ちなみにライナーノーツ(katalin fittlerによる作品解説)も非常にわかりやすく、充実しています。

 




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