Wibi Soerjadi plays Franz Liszt
【邦訳タイトル】ウィビ・スルヤディ・プレイズ・リスト
【演奏者・録音】ウィビ・スルヤディ 1991年
【カタログ番号】Philips 438 073-2(輸入盤)
1. ハンガリー狂詩曲2番(リスト)
2. 6つのポーランドの歌5番 私の愛しい人(ショパン=リスト)
3. 献呈(シューマン=リスト)
4. 巡礼の年第2年7番 ソナタ風幻想曲~ダンテを読んで(リスト)
5. シューベルトの6つの旋律 ます S.565-6(シューベルト=リスト)
6. 3つの演奏会用練習曲2番 軽やかさ(リスト)
7. 超絶技巧練習曲10番(リスト)
8. 愛の夢3番(リスト)
9. 「トロヴァトーレ」よりミゼレーレ S.433(ヴェルディ=リスト)

11歳で初めて鍵盤にさわった瞬間からピアニストを目指し、その8年後にはユトレヒト・リストコンクールで3位を受賞したという天才肌。スルヤディの名は「カーネギーホール・ライヴ」の音源で一部熱狂的に語られるものの、基本的には無名の存在です。どちらかというとコンサートツアーよりもオランダ本国での活動が多いからでしょうか。
メカニックが安定しているようには聞こえませんが、よくコントロールされたルバート奏法は抜群の包容力を発揮しています。百花繚乱の賑わいはないものの、一つ一つの演奏に奏者の豊かな感性が凝縮されています。ペダリングはかなり不得手のようで、ダンテソナタでは殊に和音連打の処理が甘くなっています。ただ、私の愛しい人や献呈、愛の夢では充実したフレーズ同士のコネクションと、目の覚めるような音の伸展があります。軽やかさは例の3度音型に相応の付加がかかっているようですが、ピアニシモへの急展開やその表現力は抜群です。超絶技巧練習曲は中間部の気の緩みなど、ミスタッチの多さが気になります。トロヴァトーレのミゼレーレは伸びやかな音がさらに引き出されていて、アルバムの中でも随一の感情移入を見て取れます。
総じて、ステージパフォーマーとしての意欲が漲る一枚です。
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