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Timothy Smith


  TIMOTHY SMITH PLAYS LISZT

【邦訳タイトル】ティモシー・スミス・プレイズ・リスト
【演奏者・録音】ティモシー・スミス 録音年不詳
【カタログ番号】MUSICIANS MS1018(輸入盤)
 1. ソナタ ロ短調(リスト)
 2. メフィスト・ワルツ1番(リスト)
 3. 「ランメルモールのルチア」の回想 S.397(ドニゼッティ=リスト)
 4. 献呈 S.566(シューマン=リスト)
 5. パガニーニ大練習曲3番「ラ・カンパネラ」(リスト)


 ロ短調ソナタは傷もなく上手くまとまっているのですが、オクターブでのメロディアスな各所で気品のない強奏が耳につきます。スタインウェイとは思えないような砂っぽいジャリジャリした音なので、美観の点で大きなハンディを背負っています。加えて、メフィストワルツに顕著なのですが、高速パッセージにおける微弱音量域の処理、デュナーミクへの配慮に偏りがあります。まるで安っぽい乗り心地の電車に淡々と揺られているような気分です。ランメルモールのルチアに関しては十分な歌心があって退屈しませんが、ソナタと同じく音色で損をしています。献呈も同様に漫漫たる歌がありますが、こちらはやや溜めすぎな印象です。カンパネラも微細な音色への感度が鈍っていて、透き通るような清々しさがありません。フレーズ間にベタベタとした脂っこさ残ります。
 貫徹された基礎技術でないと、上記のような乾いた音色がマイナスに響いてきます。また、テクニカルな面での捗々しさが芸術性へと結びついないことから、最終的な調整に関してなにかしらの手抜きを感じます 。

 




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