Ruth Slenczynska ・ The legacy of a Genius
【邦訳タイトル】天才の遺産
【演奏者・録音】ルース・スレンチェンスカ 1951-52年
【カタログ番号】Ivory Classics 70802(輸入盤)
1-3. イタリア協奏曲1~3楽章(バッハ)
4. 半音階的幻想曲とフーガ 1. 幻想曲(バッハ)
5. 半音階的幻想曲とフーガ 2. フーガ(バッハ)
6. トッカータ BWV.911(バッハ)
7-8. ソナタ BWV.963(バッハ)
9. 6つのポーランドの歌1番 おとめの願い(ショパン=リスト)
10. 6つのポーランドの歌2番 春(ショパン=リスト)
11. 6つのポーランドの歌3番 指輪(ショパン=リスト)
12. 6つのポーランドの歌4番 バッカナール(ショパン=リスト)
13. 6つのポーランドの歌5番 私の愛しい人(ショパン=リスト)
14. 6つのポーランドの歌6番 家路(ショパン=リスト)
15. コンソレーション1番(リスト)
16. ハンガリー狂詩曲15番「ラコッツィ行進曲」(リスト)

スレンチェンスカに対して「天才」という言葉が盛んに使われていますが、むしろ幼少期からスパルタ教育を受けた「努力家」としての側面が大いに伝わってくるような演奏です。膨大なピアノ練習量に裏付けられた確固たる自信や、音楽家としてのプライドの賜物と言ったところでしょうか。
質的な解釈に始終し、どのフレーズをとっても打鍵がコツコツと聞こえてくるようです。残念ながら音質がよろしくないので、近年の録音と一緒に語るのは難しいのですが、基本的な路線としてずっと守り抜いているものを感じます。バッハのイタリア協奏曲は楽章毎の性質が非常に良く弾き分けられています。トッカータのラルゴ、ソナタのアダージョ等では微小なシンコペーションを利かせていて、ちょっとしたアンバランスが楽しめます。6つのポーランドの歌はまるでショパン自身によるピアノ用編曲を聴く気分です。リストの名前を借りるなら、もっと遊びの要素があってもいいかもしれません。ラコッツィ行進曲は奏者お気に入りの一曲のようで、他の曲とは力の入り方が違います。ゴリゴリのオクターブ低音、聴かせるテンポコントロール、鮮やかなグリッサンド。全盛期における重音の迫力を生で味わってみたかったものです。
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