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Muza Rubackyte


  Les Études de Liszt Vol.1 - Mûza Rubackyté

【邦訳タイトル】リストによる練習曲集 1巻
【演奏者・録音】ムーザ・ルバッキテ 1996年
【カタログ番号】LYRINX LYR156(輸入盤)
 1. 3つの演奏会用練習曲1番 悲しみ(リスト)
 2. 3つの演奏会用練習曲2番 軽やかさ(リスト)
 3. 3つの演奏会用練習曲3番 ため息(リスト)
 4. 2つの演奏会用練習曲1番 森のざわめき(リスト)
 5. 2つの演奏会用練習曲2番 小人の踊り(リスト)
 6. 怒りをこめて S143(リスト)
 7. パガニーニ大練習曲1番(リスト
 8. パガニーニ大練習曲2番(リスト)
 9. パガニーニ大練習曲3番「ラ・カンパネラ」(リスト)
 10. パガニーニ大練習曲4番(リスト)
 11. パガニーニ大練習曲5番「狩」(リスト)
 12. パガニーニ大練習曲6番(リスト)


 リトアニアの天才少女として7歳でデビューし、これまで数多くのコンクールを制覇しています。81年の(ブダペスト)リストコンクールでの優勝は、現在のリストに力点を置いた活動の原点となっているのでしょうか。
 「天才ピアニスト」と呼ばれる人々は、どこの出身であろうと誰に師事していようと、いみじくも自分の持つピアノ観に浸らせてくれるものですが、この奏者もその典型です。基礎的な技術、アクロバティックなメカニック共に、他のリスト弾きと比べて特筆するようなグレードではないでしょう。しかし、楽譜という規定に鎮座するのではなく再創造する姿勢、具体的には聞き手本位のデフォルメや、意外性に富む展開を仕掛ける卓越したセンスが一味も二味も躍動感を与えます。拍感を壊さない範囲で大胆なステップを踏む演奏会用練習曲。リストの音楽が内包する嗜好性を上手に引き出した怒りをこめて。上品な洒落気の加味したパガニーニ練習曲。いずれも自由度が高く、往々にして「ひねり」を混ぜ込んできます。ショパンに代表されるような「定型ロマンへののろけ」ともいうべき通俗美学が必ずしもリストには通らない、ということを満面の笑みで語りかけてくるかのようです。奏者自身の力量だけでなく、リストによる作品の懐の広さを改めて感じさせる一枚です。

 




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