WATER MUSIC OF THE IMPRESSIONISTS - Carol Rosenberger
【邦訳タイトル】印象派の水の音楽
【演奏者・録音】キャロル・ローゼンバーガー 1979年
【カタログ番号】Delos DE3006(輸入盤)
1. 巡礼の年第3年4番 エステ荘の噴水(リスト)
2. 4つのローマのスケッチ3番 アクア・パオラの噴水(グリフェス)
3. 水の戯れ(ラヴェル)
4. 夜のガスパール1番 オンディーヌ(ラヴェル)
5. 前奏曲第1巻10番 沈める寺(ドビュッシー)
6. 版画3番 雨の庭(ドビュッシー)
7. 映像第1集1番 水の反映(ドビュッシー)
8. 映像第2集3番 金色の魚(ドビュッシー)
9. 前奏曲第2巻8番 水の精(ドビュッシー)

ローゼンバーガーはかなり筋の良い演奏家のようで、DELOSレーベルからは数多くの企画盤が出されていますが、ライナーノーツ他、奏者の情報がほとんど得られず、アメリカ人ピアニストということ以外不明です。
エステ荘の噴水は急速に突き進む冒頭から徐々にテンポを緩めるような流れを組み、すっきりした輪郭でまとめあげています。続くアクア・パオラの噴水は夭逝したグリフェスによる不遇の名作。水のざわめきを模した煌びやかな反復音型にかかるルバートと、伸びかなや和声展開が絶妙で、当盤一の出来と言えます。水の戯れ、オンディーヌは、四方から集まってくる音粒が綺麗に交錯し、物憂げな表情と華やかさがうまく共存しています。雨の庭はパサパサと毛羽立ちやすい一曲ですが、適度に寝かせた粒が印象派たる色彩感を上手く表現しています。沈める寺、水の反映とも極端なアゴーギクやテンポチェンジがなく、これも全体像の掴みやすいすっきりした演奏です。金色の魚や水の精はタッチの優しさからか多少存在感に欠けますが、しっとりとしたデュナーミクが常に躍動感を持たせています。
総じてタッチにピタリと吸い付くようなベーゼンドルファー特有の含みのある響きが美麗です。水にまつわる印象派の音楽はたくさんあるので、今後も後発の企画盤が出ることを期待します。
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