JEROME ROSE Plays FRANZ LISZT
【邦訳タイトル】ジェローム・ローズ・プレイズ・フランツ・リスト
【演奏者・録音】ジェローム・ローズ 2004年
【カタログ番号】MEDICI M30092(輸入盤)
1. ソナタ ロ短調(リスト)
2. 「ドン・ジョヴァンニ」の回想(モーツァルト=リスト)
3. メフィスト・ワルツ1番(リスト)

リストに造詣の深いローズ。息の長い大味のアメリカンピアニストとして、今もバリバリ活動を続けているようです。今回は大曲揃いの一枚の紹介。
まずロ短調ソナタですが、力の抜きどころを弁え、特にメゾピアノレベルでの穏やかなレガートが聞き応えたっぷりです。コーダ部分では持ち前の前傾的なリズム感が駆動力を増強しているイメージです。ただ、両手が揃わない箇所や高速パッセージの曖昧な処理も散見され、以前に増して細部へのこだわりがなくなってきているように聴こえます。ドン・ジョヴァンニの回想も基本的にソナタと同じような印象ですが、こちらは技術的な不足感が露骨に出ていて、難所の聞き苦しさが異常に目立っています。3度の昇降で縦横無尽に駆け巡るこの曲は荷が重いようです。最後のメフィストワルツはこの一枚で最もシックリくる演奏。スケールの大胆な起伏、躍動感を必要とするオクターブメロディが色鮮やかです。
特定のテクニックに関して重点的に強化していかないと、これからの録音もデコボコした完成度になってしまいそうです。大味ならではの趣味の良い音楽観を披露する道のりは険しいかもしれません。
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