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Igor Roma


  ROMANTIC PIECES FOR PIANO Alkan Liszt Prokofiev - Igor Roma

【邦訳タイトル】ロマン派のピアノ作品集
【演奏者・録音】イゴール・ローマ 2001年
【カタログ番号】CHALLENGE RECORDS CC 72154(輸入盤)
 1. 短調による練習曲 Op.39-12「イソップの饗宴」(アルカン)
 2. サルタレラ Op.23(アルカン=ローマ)
 3. 巡礼の年第2年補遺1番 ゴンドラをこぐ女(リスト)
 4. 巡礼の年第2年補遺2番 カンツォーネ(リスト)
 5. 巡礼の年第2年補遺3番 タランテラ (リスト)
 6. 超絶技巧練習曲11番「夕べの調べ」(リスト)
 7-16. ロミオとジュリエット Op.75(プロコフィエフ)


 ピアノは11歳からのスロースターターでありながら、激しいコンクール歴です。92年、徴兵中に出たヴェニスピアノコンクールでも3位入賞。94年の浜コンでは5位入賞。96年オランダ・リストコンクールで優勝という経歴の持ち主です。
 イソップの饗宴はアムランの十二分に傑出した録音に匹敵する職人的演奏です。しなやかな高速同音連打のキレと各高速パッセージ後半の明瞭さ、また、伴奏部に一定のアクセントが強調されており、音楽的なまとまりに長けています。サルタレラの原義は「タランテラ」よりも急速なイタリアの舞曲。作品の位置づけとしてはリストで言う「怒りを込めて」やゴドフスキの「トッカータ」と同様で、決定的なインパクトに欠ける不遇の難曲ですが、ここでも奏者の超絶技巧が炸裂。冒頭の同音連打をはじめ、指定のテンポ以上で完璧に弾きこなすばかりか、原曲の弱みを知り尽くしたような怒涛の装飾を仕掛けます。セオリーはホロヴィッツに従っていることからも、ヴォロドスによるトルコ行進曲の編曲を彷彿とさせます。ヴェネツィアとナポリのタランテラも抜かりなく超絶的で、クリアな同音連打は圧巻です。しかし、ゴンドラをこぐ女、カンツォーネは微妙なニュアンスの引き出しや広いダイナミックレンジが欲しいところ。リズムも不自然な箇所があります。夕べの調べロミオ&ジュリエットもゆったりと構えるべきタイミングが少しずつはずされる気がします。アルバム後半は一気呵成に過ぎるかもしれません。
 いずれにしても、超絶系がお好みの人にとっては必須音源です。人智を超えた鍵盤技に出会えます。

 




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