DEZSÖ RÁNKI plays FLANZ LISZT
【邦訳タイトル】デジュー・ラーンキ・プレイズ・フランツ・リスト
【演奏者・録音】デジュー・ラーンキ 1975年
【カタログ番号】DENON 32C37-7547(国内盤)
1. 巡礼の年第2年7番 ダンテを読んで~ソナタ風幻想曲(リスト)
2. メフィスト・ワルツ1番(リスト)
3. ソナタ ロ短調(リスト)

シフ、コチシュらと共に「ハンガリー三羽烏」ともてはやされたのが嘘であったかのように控えめな活動をしていましたが、最近はしばしば来日し、再び脚光を浴びています。音楽家としての活動の幅を広げ、本国での躍進目覚しいコチシュや、バッハを初めとしたバッハからバルトークまでの細長い守備範囲で圧倒的な美音を誇示するシフの存在感も確かなものですが、シンプルなメカニックの強さで言えば3人の中でも筆頭格と言って差し支えない実力者です。
本録音は初来日を果たした1975年という油が乗った時期のもので、その内容は非常に充実しています。どこを切り取ってみても爽やかな仕上がり。ダンテソナタは離鍵の良さや軽快なペダリングが目立ちます。特に反復パッセージに対して一本調子で制圧するのではなく、パレットを使い分けるような自在な鍵盤支配が鮮やかです。また、フレーズを少しずつ急ぐ様子は、奏者のフレッシュな感性を思わせます。メフィストワルツは序盤こそ一見大掴みのようですが、中盤以降に向けて徐々にきめ細かい解釈が垣間見えます。1990年の再録音には及ばないものの、ロ短調ソナタは大樹的で壮観な仕上がりです。個別的解釈に依らず、非の打ちどころのない正統派の秀演です。コチシュの鋭く刻み込まれる音や、シフの甘く解き放たれる音に見られるような強烈な個性は見られませんが、当時、既に一流のバランス感覚を兼ね備えていたことが明らかです。
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