LISZT : Sonata in B minor, Late piano works - Maurizio Pollini 
【邦訳タイトル】リスト:ソナタ、後期ピアノ作品集
【演奏者・録音】マウリツィオ・ポリーニ 1988-1989年
【カタログ番号】Grammophon 427-322-2(輸入盤)
1. ソナタ ロ短調(リスト)ポリーニ1988
2. 灰色の雲 S.199(リスト)ポリーニ1988
3. 不運! S.208(リスト)ポリーニ1989
4. 悲しみのゴンドラⅠ S.200-1(リスト)ポリーニ1988
5. リヒャルト・ワーグナー ~ヴェネツィア S.201 (リスト)ポリーニ1988

ポリーニと言えば70年代のショパンの練習曲、シューマンやベートーヴェンのソナタ、ストラヴィンスキーなど、えもいわれぬバランス、キレ、快活なテンポ、古い意味での「テクニシャン」ぶりが思い浮かばれますが、このリスト選、特にロ短調ソナタに関してはタッチがのっぺりとしていて湿気臭く、腰が重い印象を免れません。細かな16部音符が分離悪くペラペラと流れてしまう部分もあり、往年の鍵盤コントロールに明らかな陰りを感じます。この一枚によってソナタと後期の小品をカップリングするのが「流行した」と言っても過言でないほどに奏者の役割は大きいのですが、実態としては器用貧乏な録音。また、各方面の評価を見ても、ひたすら「ポリーニ」というブランドの強さが先行しているように思います。
本人も漏らすように、ひとたび「完璧」のレッテルを貼られた演奏家の行く末ほど険しいものはありません。ロマンティズムに髄まで浸かることなく、ストイックなアプローチでどこまで魅力を保持できるのかが気になります。
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