A TRIBUTE TO PAGANINI - Marco Pasini 
【邦訳タイトル】パガニーニ讃(1巻)
【演奏者・録音】マルコ・パシーニ 2000年
【カタログ番号】DYNAMIC CDS 360 (輸入盤)
1. ピアノのための幻想曲「パガニーニの回想」(フンメル)(初録音)
2. 「珠玉のパガニーニ」~幻想曲1番(モシェレス)
3. 「珠玉のパガニーニ」~幻想曲2番(モシェレス)
4. 「鐘」~ピアノのための華麗なロンド(クーラウ)
5. パガニーニ大練習曲1番(リスト)
6. パガニーニ大練習曲2番(リスト)
7. パガニーニ大練習曲3番「ラ・カンパネラ」(リスト)
8. パガニーニ大練習曲4番(リスト)
9. パガニーニ大練習曲5番「狩り」(リスト)
10. パガニーニ大練習曲6番(リスト)
11. パガニーニ風の序奏と奇想曲(ブゾーニ)
12-15. パガニーニの奇想曲によるカノン様式のソナチネ(ダラピッコラ)(初録音)

パガニーニに関連するピアノ独奏作品を収めた2巻の1枚目。知られざる編曲が多く、まだまだ完全収録というわけにはいきませんが、さすがに初録音揃いのマイナー集になっており、一聴する価値は高いです。(リストによるパガニーニ練習曲38年度版がまだ収められていないので、3巻は期待できます。)
フンメルは古典派愛好家でないと幾分冗長に感じられるでしょう。クーラウは平易なソナチネで有名ですが、ピアノのための華麗なロンドは易々と弾ききれる代物ではない模様です。楽譜を見てないので確証は持てませんが、モシェレスとブゾーニはテンポアップすればかなりの演奏効果を出せるのではないでしょうか。中にスッポリと収められたリストのパガニーニ大練習曲は、首尾貫徹している点で一段高みに感じられます。この一枚で最も先進的なのは1943年作曲のダラピッコラによるソナチネ。前衛的パガニーニ編曲といえばローゼンブラット編のような「変わり果てた」ものもありますが、そこまでは突き抜けていません。奇想曲13、19、11、14番の4つを元に構成されており、モンポウ風の不協和音が楽しめます。これはリストに引けをとらず目立っており、お勧めです。
もともとオルガン奏者でもあるパシーニはペダルの踏み分けが繊細で、持ち前のクリアな打鍵が活きています。しかし、基礎メカニック低落ぶりと、もどかしい安全運転をカバーするには至りません。
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