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Dmitry Paperno


  RECORINGS BY A MOSCOW PIANIST 

【邦訳タイトル】モスクワのピアニストによる録音
【演奏者・録音】ドミトリー・パペルノ 1967-1975より以前(詳細不明)
【カタログ番号】CEDILLE CDR 90000 037(輸入盤)
 
 1. ラプソディ2番(ブラームス)
 2. ポロネーズ2番(リスト)
 3. バラード Op.24(グリーグ)
 4. 巡礼の年第2年補遺3番 タランテラ(リスト)
 5-8. ソナタ2番(ショパン)
 9. スペイン狂詩曲(リスト)


 いわゆるヒストリカルなピアニストと比較すると、現代はメカニックの精度が上がっているという意見は各方面から聞かれますが、芸術、特にピアノのような身体運動の感興においては、メカニックという尺度はさほど意味を持たないというのが実情です。パペルノはハラシェヴィッチが1位、アシュケナージが2位となった1955年第5回のショパンコンクールで5位という結果だったピアニストですが、前記2人にひけをとらない"筋の良さ"を持っています。聴衆に媚びるような「流れの悪さ」や余計な算用、迷いのない快演です。ミスタッチは決して少なくないですが、誇張のないダイナミクスの中における柔らかいタッチ、レガート、ぺダリング。また、いずれの楽曲にも行き届いている音響バランスへの高い意識と調和が見事です。当然ながらいわゆる"ヴィルトオーゾタイプ"ではないのですが、作為性なく演奏効果をあげるという意味で、円熟期のラザール・ベルマンに近いものがあります。特にタランテラなどは象徴的です。こうした才気は現代ではほぼ絶望的です。
 録音もよくリマスターされていて、古さを感じさせません。ブックレットにはショパンコンクール後、アシュケナージと共に入賞者録音をした時のエピソードなどが書かれたパペルノ本人の興味深い記述があります。

 




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