Liszt : Dante Sonatas, Funerallies etc. - Károly Mocsári 
【邦訳タイトル】リスト:ダンテソナタ、葬送曲他
【演奏者・録音】カーロイ・モチャーリ 1991年録音
【カタログ番号】HUNGAROTON HCD 31203(輸入盤)
1. 巡礼の年第2年7番 ソナタ風幻想曲~ダンテを読んで(リスト)
2. バラード2番(リスト)
3. 詩的で宗教的な調べ7番 葬送曲(リスト)
4 3つの演奏会用練習曲2番 軽やかさ(リスト)
5. バッハの主題による幻想曲とフーガ S.529(リスト)

モチャーリはルービンシュタインやクライバーン等、数々のコンクール入賞・優勝経験がありますが、86年のブダペスト・リストコンクール優勝(1位なしの2位)は、演奏家としての方向性を決める上で重要なポイントだったようです。ちなみにカーティス音楽院ではボレットにも学んでいます。
ダンテソナタは冒頭から再度アンダンテに戻る部分にかけてのオクターブ連打のキレがなく、昇降音型における駆動的な表現力に欠けます。中盤から猛々しい攻めの姿勢を見せますが、テクニカルな面でのちょっとした鈍さは引きずります。バラード2番では持ち味である適度な重量感が妙味を発揮。テンポやダイナミクスの臨界点が考慮された上で上手にコントロールされており、葬送曲とともに模範的な出来です。軽やかさは左手の旋律が効果的に引き出されていますが、例によって3度進行の難所はテンポが持ち上がらないのが残念。幻想曲とフーガは全体的にリリカルで趣味の良い拍感です。レガートとノンレガートの対比を聴かせる箇所などは見事です。
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