SONATA IN SI MINORE, TOTETANZ - Bruno Mezzena 
【邦訳タイトル】ソナタロ短調、死の舞踏(独奏版)
【演奏者・録音】ブルーノ・メッツェナ 1976年?
【カタログ番号】PDU CDC 4002(輸入盤)
1. 死の舞踏 S.525(リスト)
2. ソナタ ロ短調(リスト)

狭いスタジオ録音のような、奏者の息遣いが間近で聞こえそうなリアリティの高いサウンドです。容赦ない減衰が繰り返される生々しい響きは、和声感覚からアルペジオ一音一音の間合いまで、奏者の総合的な器量を余すことなく映し出します。当然のことですが、その音響効果を生かすも殺すも奏者の技量次第です。
メッツェナの演奏は精細さに欠け、サウンドのメリットが生きていません。死の舞踏では無難なテンポ設定をしてもなお指回りが追いついておらず、しばしばリズムがフラつき、多声進行が不揃いになります。輪郭は鮮明で、穿った解釈もないのですが、ことあるごとに技術的な頭打ちを意識させられて気が散ります。ソナタは聞き手の予想以上のことは何一つ起こりません。死の舞踏よりも安定していますが、音量を必要とする部分で荒削りになりがちです。
メッツェナはミケランジェリの高弟にあたり、かの「鐘」の大幻想曲(S.420)をはじめ、マイナーな作品の録音に積極的なピアニストです。CDの発行年が75年となっているので、年齢を考えれば50歳間近という望ましい時期における演奏のはずなのですが、美点を見つけるのは至難です。PDUはイタリアのレーベルですが、ライナーノーツは英訳がなく、録音年も不祥。ボリュームやクオリティから見たコストパフォーマンスが良くありません。
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