Robin McCabe plays Liszt
【邦訳タイトル】ロビン・マッケイブ・プレイズ・リスト
【演奏者・録音】ロビン・マッケイブ 1981年
【カタログ番号】BIS CD-185(輸入盤)
1. 2つの演奏会用練習曲1番 森のざわめき(リスト)
2. 2つの演奏会用練習曲2番 小人の踊り(リスト)
3. 巡礼の年第2年5番 ペトラルカのソネット104番(リスト)
4. 詩的で宗教的な調べ7番 葬送曲(リスト)
5. 「美しき水車小屋の娘」1番 さすらい S.565-1(シューベルト=リスト)
6. 12の歌曲9番 セレナード「聞け、聞け、ひばりを」(シューベルト=リスト)
7. 6つのポーランドの歌1番 乙女の願い(ショパン=リスト)
8. 6つのポーランドの歌5番 私の愛しい人(ショパン=リスト)
9. 「リゴレット」より演奏会用パラフレーズ S.434(ヴェルディ=リスト)

個人的に好きなベーゼンドルファー275による録音。録音の状態は良くありませんが、臨場感に優れており、近年主流の「雑音が消されて綺麗過ぎる録音」よりもずっと魅力的です。膨張しすぎず、減衰しすぎず。奏者のダイナミクスが存分に発揮され、リスト向きの音響です。
森のざわめきは、その辺にありそうで実はなかなか出会えない秀演。情感たっぷりの抑制されないフォルテシモが、くぐもりがちなフレーズを"脇役"から引っぱり出します。小人の踊りは"主旋律と伴奏"の関係に必ずしもとらわれず、正確なアクセントだけを頼りに和声的「もつれ」を形にしてしまいます。男性顔負けのパッションを披露する葬送曲も見事ですが、シューベルトやショパン=リストの歌曲におけるコントロール抜群のリタルダンドは鮮烈です。最後を飾るリゴレットパラフレーズはひときわ溌剌としていて、あらゆる鬱憤を晴らしてくれそうな快演。ここまでやってなぜ下品に聴こえないのか不思議です。
久々に"リストに相応しいヴィルトオジティ"を体感したというか、こういう奏者がいると、メカニックの精度が即ち「上手さ」ではないということを自信を持って言うことができます。
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