Live on the Horowitz steinway - Jura Margulis
【邦訳タイトル】ホロヴィッツのスタインウェイによるライヴ
【演奏者・録音】ユラ・マルグリス 1994年録音
【カタログ番号】Arsmusici AM 1379-2(輸入盤)
1. 即興曲 Op.142-3(シューベルト)
2. ソナタ ロ短調(リスト)
3. 前奏曲 Op.23-4(ラフマニノフ)
4. 前奏曲 Op.23-5(ラフマニノフ)
5. ソナタ5番(スクリャービン)
6. 火花 Op.36(モシュコフスキ)
(ボーナストラック)
フランス組曲3番 サラバンド(バッハ)

ロシア生まれのドイツ育ち。フライシャーに師事したマルグリスのライヴ盤です。
シューベルトの即興曲は頭のてっぺんからつま先まで抜けるような徹底したリリシズム攻勢です。主旋律の音量バランスも良く、各フレーズに血が通っており、奥行きを持っています。リストのソナタはライヴならではのかすり傷こそありますが、解釈としては基本に忠実で安定しています。不用意に間延びさせないので、曲全体の見通しがよいです。スケールの大きいメロディアスな部分では、精悍さもしっかりと兼ね備えています。ラフマニノフの前奏曲Op.23-4も十分なゆとりをもっていながら、全体としては引き締まっています。前奏曲Op.23-5は、ホロヴィッツをオマージュするのであればもっと鋭い強音を注文したくなりますが、オクターブの端っこだけでコントロールするような技ありの音色の切り替えがあって、なるほど鋭さを追求する必要のなさに納得。スクリャービンのソナタ5番は技巧的に裁かれてどうしても無機質になりがちですが、奏者の演奏は躁鬱が交互に廻るような生々しい仕上がりです。そして、当盤で最も優れているのは火花で、これはまさしくホロヴィッツの演奏に肉薄しています。粒の転がり方に基づく快速感はもちろんですが、アクセントの拾い方がよく研究されています。
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