Shakespeare Recital - Leopoldo Lipstein
【邦訳タイトル】シェークスピア・リサイタル
【演奏者.・録音】レオポルド・リプシュタイン 2000年
【カタログ番号】amphion AMP 18969(輸入盤)
1. ソナタ17番 1~3楽章「テンペスト」(ベートーヴェン)
2. ロミオとジュリエット Op.75-1 フォークダンス(プロコフィエフ)
3. ロミオとジュリエット Op.75-2 情景(プロコフィエフ)
4. ロミオとジュリエット Op.75-3 メヌエット(プロコフィエフ)
5. ロミオとジュリエット Op.75-4 少女・ジュリエット(プロコフィエフ)
6. ロミオとジュリエット Op.75-5 仮面(プロコフィエフ)
7. ロミオとジュリエット Op.75-6 モンターギュー家とキャピュレット家(プロコフィエフ)
8. ロミオとジュリエット Op.75-7 僧・ローレンス(プロコフィエフ)
9. ロミオとジュリエット Op.75-8 マーキュシオ(プロコフィエフ)
10. ロミオとジュリエット Op.75-9 百合の花を持った娘たちの踊り(プロコフィエフ)
11. ロミオとジュリエット Op.75-10 ロミオとジュリエットの別れ(プロコフィエフ)
12. 結婚行進曲~「夏の夜の夢」より(メンデルスゾーン=リスト)

シェークスピアによる3つの戯曲、悲劇「ロミオとジュリエット」、喜劇「夏の夜の夢」、悲劇「テンペスト」に基づく作品を集めた企画盤です。(原作ではなく作曲・編曲成立順)。リプシュタインはヴァーシャリやゲルバーに師事したアルゼンチンのピアニスト。堅実な間合いと、大らかな抑揚のある歌い方が特徴です。
テンペストは、フレーズの結尾をきっちりと処理する感性と、ふんわりとボリュームや質感を引き立たせるような独創性が融合して、聞き手がじっくりと入り込める仕上がりです。ロミオとジュリエットでは奥行きのある音運びと、おもむろに腰をすえる鈍角なタッチ(特にポルタート)が、立体感を生み出しています。情景の変化も大切にされていて、一曲一曲の俯瞰的なイメージを広げます。結婚行進曲はサン・サーンス=リストの「死の舞踏」同様、ホロヴィッツ編の方がより演奏の機会を多くしている印象がありますが、こちらは純粋なリスト編。名うてによる演奏であっても、「執拗な繰り返しや大音量でウンザリ…」という駄作の烙印を押されがちな作品ですが、パッセージのうねりに合わせた緩いテンポ設定と、控えめのフォルテでリスクを抑えています。しかし、どうしてもテンポが必要な部分でメカニカルな表現を諦めたり、あるいはテンポを抑え過ぎて練習調になってしまったりするような箇所が散見されます。技巧派ではないからこその、最後を締めくくるこの難曲に対する覚悟のようなものを感じられないのは大きな傷と言えます。
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