Valery Kuleshov plays Liszt
【邦訳タイトル】ヴァレリー・クレショフ・プレイズ・リスト
【演奏者・録音】ヴァレリー・クレショフ 2005年
【カタログ番号】VAIA 1265(輸入盤)
1. ソナタ ロ短調(リスト)
2. パガニーニ大練習曲1番(リスト)
3. パガニーニ大練習曲2番(リスト)
4. パガニーニ大練習曲3番「ラ・カンパネラ」(リスト)
5. パガニーニ大練習曲4番(リスト)
6. パガニーニ大練習曲5番「狩り」(リスト)
7. パガニーニ大練習曲6番「主題と変奏」(リスト)
8. メフィスト・ワルツ1番(リスト=ブゾーニ)

クレショフと言えばホロヴィッツの編曲モノで話題になりましたが、パガニーニ大練習曲(全曲)への並々ならぬ注力も強調する必要があるでしょう。クレショフの音源枚数は決して多くありませんが、実に全体の3割以上にパガニーニ大練習曲が録音されています。そして、編曲に明るいということもあり、51年版やその譜面に固執していません。以前から38年版やブゾーニ版を部分的に取り込んだりしていましたが、今回も色々と改変を加えています。特に5番に関しては自作の改変も合わせて、大幅に38年版を採用しています。当盤ではロ短調ソナタなどとも合わせ、改めてリストへの傾倒ぶりが明らかになったと言えそうです。
ソナタでは優等生的な解釈を見せたかと思うと、思わぬ声部の誇張やポルタートの妙技を覗かせます。テンポは押しなべて快速ですが、コーダ突入時での一気呵成なダッシュにも相変わらずのメカニックが光ります。パガニーニ大練習曲は、さすがにクライバーンコンクールや東京芸術劇場ライヴ盤に刻まれた気迫やキレこそ再現されませんが、やや大らかなな歌い口でも残響を鮮やかに処理するクールな感性は期待通りです。ブゾーニ編のメフィストワルツは管弦楽版を好む人にはお勧めです。オリジナルソロ版に耳慣れていると、後半はひっきりなしに増音されているように感じられて"騒々しい"のですが、演奏レベルの高さが十分な感興を引き出しています。
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