Liszt:Etudes d'exécution transcendante - Yu Kosuge 
【邦訳タイトル】リスト:超絶技巧練習曲集
【演奏者・録音】小菅優 2002年
【カタログ番号】SONY AICC 113(国内盤)
1. 超絶技巧練習曲1番「前奏曲」(リスト)
2. 超絶技巧練習曲2番(リスト)
3. 超絶技巧練習曲3番「風景」(リスト)
4. 超絶技巧練習曲4番「マゼッパ」(リスト)
5. 超絶技巧練習曲5番「鬼火」(リスト)
6. 超絶技巧練習曲6番「幻影」(リスト)
7. 超絶技巧練習曲7番「英雄」(リスト)
8. 超絶技巧練習曲8番「狩り」(リスト)
9. 超絶技巧練習曲9番「回想」(リスト)
10. 超絶技巧練習曲10番(リスト)
11. 超絶技巧練習曲11番「夕べの調べ」(リスト)
12. 超絶技巧練習曲12番「雪嵐」(リスト)

日本人による全曲録音は横山幸雄に次ぐ2番目。女性ピアニスト初の偉業を成し遂げたこの一枚が出世作であり、なんとも華々しい登場です。とは言うものの、実際は国内での知名度が低かったというのが正確な表現であり、この一枚に送られた賛辞の数々を見ても、「なるべくしてなった」印象が強いです。ドイツを中心としたヨーロッパでのコンサート活動だけでなく、録音活動も積極的にこなす実力者です。
豪快なタッチと挑発的なテンポ。1番から猪突猛進の快演です。続く2番も鮮やかな打鍵コントロールが冴え渡っています。5番は幾分控えめのトーンですが、芸の込んだ高音域の「チラつき」の演出は見事です。6番、7番ともにオクターブ、音階スケールが勇壮で、構成に関しても迷いがありません。8番でやや左手の精細さに欠けるところが散見されますが、高速パッセージの多い9番のピアニッシモでは凝縮されたカンタービレを聴かせます。11番はフォルテ部分で持ち越す残響に無頓着な様子ですが、10番はダイナミックが強く意識されおり、メリハリがついています。12番はお得意のラフマニノフ的なわびしさが強調されており、異彩を放っています。
全体的に少々間合いの足らない呼吸の感覚はあるかもしれませんが、純粋に若い感性とメカニカルな力量において非常によく均整がとれています。
|