LISZT : ORCHESTRAL TRANSCRIPTIONS FOR SOLO PIANO
【邦訳タイトル】リスト:管弦楽作品のピアノ編曲集
【演奏者・録音】デヴィッド・コレヴァー 1997年
【カタログ番号】HELICON HE 1027(輸入盤)
1. 交響詩7番「祝宴の響き」S.511d(リスト)
2. 交響詩4番「オルフェウス」S.511b(リスト)
3. グレートヒェン S.513(リスト)
4. メフィスト・ワルツ2番(リスト)

コレヴァーはワイルドに師事したことで知られる実力派アーティスト。作曲、アンサンブル、教育活動など、ピアノに関して意欲的に活動していて、広範なレパートリーのうち、かなりの部分がレアな作品で占められています。本盤も、ハワード以外で録音しているのは数人というレベルのソロ作品が並んでいます。(ハワードは交響詩ソロバージョンの録音を「推定世界初録音」で銘打っていますが、事実ではありません。)
内容ですが、交響詩は豪奢にアレンジが加えられていて新鮮です。自身でライナーノーツで強調しているような、曲に潜在するヴァイタリティとメロディラインの確保に関してはやや弱いものの、静謐なピアニッシモや、クリアな和音連打に関しては一種の造形美を感じます。フレージング毎のペダルの踏み分けがしっかりしていて、和声の展開が端麗であることも特徴です。グレートヒェンにおける和声感の充実、響かせ方に関してはハワードの方が一枚上手、という判断をしていますが、レガート奏法、説得力あるルバートなどのコンビネーションに関しては饒舌で、安心感があります。メフィストワルツ2番は、冒頭にある16部音符の分離の悪さが気になります。どことなくモッサリしている後半部もダレるかもしれませんが、全体的に緩めのテンポな割りに適度な緊張感があるのは不思議な魅力。リストファンにとって甲斐甲斐しい選曲集なので、特に交響詩のソロバージョンに触れたことのない人には強くお勧めです。
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