Liszt : La Campanella - karl-Andreas Kolly 
【邦訳タイトル】リスト:ラ・カンパネッラ~リスト作品集
【演奏者・録音】カール=アンドレアス・コリー 2005年
【カタログ番号】Meister music MM-1204(国内盤)
1. パガニーニ大練習曲3番「ラ・カンパネラ」(リスト)
2. 魔王(シューベルト=リスト)
3. 愛の夢3番(リスト)
4. 2つの演奏会用練習曲1番 森のざわめき(リスト)
5. ハンガリー狂詩曲2番(リスト)
6. コンソレーション3番(リスト)
7. 「トロヴァトーレ」よりミゼレーレ S.433(ヴェルディ=リスト)
8. 3つの演奏会用練習曲3番 ため息(リスト)
9. 巡礼の年第2年補遺3番 タランテラ(リスト)
10. 巡礼の年第3年4番 エステ荘の噴水(リスト)
11. メフィスト・ワルツ1番(リスト)

65年生まれの奏者の年齢を考えると、準円熟期のリストという言葉が合うでしょうか。かの大巨匠・ホルショフスキーに師事したというコリーは、さすがに奥行きのある良演奏を聞かせてくれます。一曲目を聞いていると、ついつい最後まで通して聴いてしまいます。
良い意味でリストに対する気負いが感じられません。カスタムメイドでじっくり丁寧に組み合わせていく工芸品を見るような雰囲気。特に強弱への感覚に優れています。支音へのアクセントはマルカートで残しつつも、オクターブや16部音符などの技巧的フレーズのタッチが非常に柔らかいので、広いダイナミックレンジに伴って音がグイグイと広がっていきます。タッチ一つ一つに一点集中型で深々と「研究」してしまうと、どうしてもテンポが殺されたりフレーズが間延びしてしまうのですが、全体的な視点をもって残響の活かし方をよく弁えているので、割合一本調子で淡々と進むテンポの遅さが気になりません。ただ、この手の演奏に多いのが、打鍵の均質性に関する弱みです。基礎技術は第一印象を決定付ける重要な要素なので、好みははっきり分かれるでしょう。
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