SOUL OF THE PIANO - Ayuko Higuchi 
【邦訳タイトル】ソウル・オブ・ザ・ピアノ
【演奏者・録音】 樋口あゆ子 2005年
【カタログ番号】DENON COCQ-84072 (国内盤)
1. 魂(樋口あゆ子)
2. ポロネーズ6番 「英雄ポロネーズ」(ショパン)
3. パガニーニ大練習曲3番 「ラ・カンパネラ」(リスト)
4. 即興曲4番 「幻想即興曲」(ショパン)
5. ハンガリー狂詩曲2番(リスト)
6. ワルツ6番 「子犬のワルツ」(ショパン)
7. 愛の夢3番(リスト)
8. 練習曲 Op.10-3(ショパン)
9. 巡礼の年第1年4番 泉のほとりで(リスト)
10. バラード4番(ショパン)
11. 6つのポーランドの歌1番 乙女の願い(ショパン=リスト)
12. 超絶技巧練習曲8番 「狩」(リスト)
13. 美しい命(樋口あゆ子)

桐朋出身で吉本興業所属。海外での慈善的活動を積極的にこなし、奏者のブログなどを見ても音楽にかけるワールドワイドな情熱が伝わってきます。ただ、こうした音楽活動をするピアニストに対して、クラシック愛好家の向ける視線は往々にして冷ややかであることが多く、場合によってはジャケットだけで適当な(悪い意味で)評価を受けます。しかし、今回のプログラムは明らかに直球勝負で、クラシック芸術家としての真価を問うにふさわしい一枚ではないでしょうか。
さすが中村紘子氏に薫陶を受けたということもあって、表現の起伏に富んでいます。英雄ポロネーズの主題は男性的なガッチリした輪郭。小節の区切りに横ばいの低音が強調され、妙に安定感があります。アゴーギクの自由さが際立つ子犬のワルツや、程よいシンコペーションと艶っぽいメロディが香り立つバラード4番など、メジャーな作品で固めていながらも奏者の主義がよく見える佳演揃いです。リストの作品に関しても基本は同じですが、ショパンよりもやや真正直の路線を少しはみ出し、陽気なニュアンスが含まれるように思われます。ラ・カンパネラのコーダや泉のほとりでの中間部など、ペダルを踏み込みすぎたり、デフォルメがきつ過ぎて細部がスカスカと抜け落ちてしまったりで荒削りな面が多いですが、いずれにしても守るものが多すぎるガチガチの邦人演奏よりはずっと良心的です。。
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