サイトトップ> 演奏会とCDレヴュー > エリック・ハイドシェック


Eric Heidsieck



  EERIC HEIDSIECK LISZT RECITAL

【邦訳タイトル】メフィスト・ワルツ<リスト名曲集>
【演奏者・録音】エリック・ハイドシェック 1994年
【カタログ番号】TEICHIKU RECOREDS TECC-28175(国内盤)
 1. 「ノルマ」の回想(ベルリーニ=リスト)
 2. 詩的で宗教的な調べ7番 葬送曲(リスト)
 3. 伝説1番 小鳥に語りかけるアッシジの聖フランシェスコ(リスト)
 4. 伝説2番 波を渡るパオラの生フランチェスコ(リスト)
 5. 悲しみのゴンドラ1番(リスト)
 6. メフィスト・ワルツ1番(リスト)


 個性的な演奏は、楽譜至上主義者からここぞとばかりバッシングを浴びせられる対象です。しかし、"毀誉褒貶"を背負ったホロヴィッツやシフラといったかつてのヴィルトオーゾとは一線を画し、ハイドシェックはノーブルなカンタービレで貫徹しています、カツァリスよろしく"認められた名手"というべき希少な存在です。
 このリストアルバムは一連の宇和島ライヴ(特にテンペスト)で見せたデフォルメはなく、控え目な表現が目立ち、もっと自由で良いのではないかと思われるくらいに整然としています。アレンジは散見されますが、多くのピアニストがリリシズムの墓場のように見切るフレーズに軽くスポットをあてるような程度。即興で付け加えられたような誇張表現も、むしろ説得力のあるポリフォニーや音楽性を探り当てる印象を与えます。これぞ当意即妙を超えた至芸というものでしょうか。当盤で最も自由な演奏が実現されているのがメフィストワルツですが、至るところで拍子を解体し、新しいリズムを創造しているので、さすがに大きく評価が分かれそうです。波を渡るパオラの聖フランチェスコは振幅激しいうねりの表現を得意とするハイドシェック最大の見せ場となっています。
 ジャケットは旧テイチク盤(廃盤)で、現在はKing Internationalより再販されています。(KDC-10)

 

 

 




Copyright 2006 LISZT-STYLE