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Marc-André Hamelin



  LISZT PIANO SONATA・BENEDICTION・VENEZIA E NAPOLI

【邦訳タイトル】リスト:ピアノソナタ、孤独の中の神の祝福、ヴェネツィアとナポリ 
【演奏者・録音】マルク=アンドレ・アムラン 2010年
【カタログ番号】Hyperion CDA67760(輸入盤)
 1. BACHの主題による幻想曲とフーガ S.529ii(リスト)
 2. 詩的で宗教的な調べ3番 孤独の中の神の祝福(リスト)
 3. 巡礼の年第2年補遺1番 ゴンドラを漕ぐ女(リスト)
 4. 巡礼の年第2年補遺2番 カンツォーネ(リスト)
 5. 巡礼の年第2年補遺3番 タランテラ(リスト)
 6-10. ソナタ ロ短調(リスト)


 アムランはここ数年で超絶レパートリー由来のレッテルを剥がすべく、オーソドックスなレパートリーで殻を破ってきました。一般的なピアニストたちの土俵にあがった昨今の録音に耳を傾けていると、「こういった楽曲をわざわざアムランで聞く必要があるのか?」という警戒が「アムランなら何かやってくれそう」という期待に変わってきています。
 随所にみられる独特な間の取り方は相変わらずですが、作品への深い敬意が感じられる潤沢なデュナーミクは一段と磨きが掛かってきました。BACHの主題による幻想曲とフーガはおおよそ12分半という同曲でも最長の部類に入る時間をかけているのですが、ピウ・アニマートからマエストーソ前にかけての見せ場における厚いオクターブ和声はアムランらしいクリアな響きです。孤独の中の神の祝福に関しては約20年前の旧録(Music&Arts)での解釈と大差はありません。ゴンドラを漕ぐ女カンツォーネは自然な装飾音の煌めきが充実しています。均質的美観を基調としたパッセージの総体的バランス感覚も並大抵ではありません。タランテラは持ち味である指周りが存分に発揮されています。ソナタはまず音の取り違え(?)が気になります。また、全体的にペダルが多めの緩い作りで、フーガをはじめ、アグレッシブな走駆も味わえると嬉しいところ。なお、ケネス・ハミルトンによる充実したライナーノーツが付いています。

 

 

 




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