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Monica Gutman



  RUMANIAN RHAPSODY - Monica Gutman

【邦訳タイトル】ルーマニア狂詩曲
【演奏者・録音】モニカ・グートマン 1999年
【カタログ番号】claves CD 50-9906(輸入盤)
 1. ルーマニア狂詩曲1番(エネスコ)
 2-4. 左手のためのソナチネ(リパッティ)
 5. ルーマニア狂詩曲(ジプシーの歌と狂詩曲20番)S242(リスト)
 6-9. 古風な形式による組曲2番(エネスコ)


 ルーマニア出身ピアニストによるルーマニアの音楽家によるコンスピレーションアルバムです。
 ルーマニア狂詩曲1番はマイナーな作品ではありませんが、ピアノソロ編曲版は希少録音です。直近では藤原亜美による録音がありますが、演奏家によって個性がむき出しになる非常に魅力的な作品です。グートマンは、技術的な面で言えば指の回転やキレといった要素で明確な限界を感じさせるタイプのようですが、民族的な音楽にとってステップの重心や予想外の変則性といったリズム要素が極めて重要である事実を突きつけてきます。あくまでリズムの内側に存在する和声の歪み、そして、チャールダッシュ風の繰り返しと移り気なパッセージが無邪気に繋がっていく様に惹き込まれます。古風な形式による組曲2番も柔らかいイメージが生きていて、じっくりと生え渡るデュナーミクと単純和声の美しさが病み付きになる出来です。リストのジプシーの歌と狂詩曲20番は、エネスコの語る民族性と共有できる部分は感じられるものの、リスト特有の"推敲前の無鉄砲な音分布"に苦しんでいるようで、エネスコと並んでしまうと演奏の水準も楽曲の質も明らかに分が悪く感じられてしまいます。左手のためのソナチネはもう少しアグレッシブにメカニックを追求する姿勢があると多面性が目立つかもしれませんが、緩めのコンセプトの中において違和感なく馴染んでいます。企画勝ちの一枚です。

 

 

 




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