Franz Liszt Récital - Jeffrey Grice
【邦訳タイトル】リスト・リサイタル
【演奏者・録音】ジェフリー・グライス 2001年
【カタログ番号】INTEGRAL ANT221.116(輸入盤)
1. 聖セシルの賛歌 S.491(グノー=リスト)
2. シバの女たち~「シバの女王」より子守歌 S.408(グノー=リスト)
3. 愛の夢2番(リスト)
4. 巡礼の年第1年6番 オーベルマンの谷(リスト)
5. 愛の夢1番(リスト)
6. 別れ~「ロミオとジュリエット」の主題による幻想曲 S.409(グノー=リスト)
7. バラード2番(リスト)
8-13. コンソレーション1~6番(リスト)
14. 愛の夢3番(リスト)

演奏機会に恵まれないグノー=リストの選曲と配置の工夫など、アルバム構成としてはよく練られていますが、メカニカルの点では弱みが露呈しています。アルペジオの粒立ちの悪さを筆頭に、オクターブでの技巧的な展開部における和声の濁り、バラつき、タイミングの外れたペダリングなど、技術精度の観点で課題が山積み。指周りよりもカンタービレでデザインしていくような緩徐作品が並んでいるので、それほど無粋な印象にはなりませんが、さすがにバラード2番のコーダ周辺などは譜面を追うのすら精一杯な様相で、プロ意識が問われてしまいそうです。ただ、大巨匠がメカニックの弱さを敷衍的な音楽的含蓄に変えてしまうマジックのようなものを駆使するとすれば、奏者は既にそれに近いところでの演奏を成就しているように思います。まだ年齢的にも円熟期を迎えるには遠いように思えるからか、奏者に対してではなくヨーロッパの伝統的なクラシック文化そのものの薫りをかぐような、不思議な感覚にとらわれます。
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