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Nelson Goerner



  LISZT - Nelson Goerner

【邦訳タイトル】ゲルナー リスト作品集
【演奏者・録音】ネルソン・ゲルナー 2007年 
【カタログ番号】CASCAVELLE VEL 3101(輸入盤)
 1-3. ソナタ ロ短調(リスト)
 4. バラード2番(リスト)
 5. 調性のないバガテル(リスト)
 6. 「トリスタンとイゾルデ」よりイゾルデの愛の死 S.447(リスト)
 7. メフィスト・ワルツ1番(リスト)


 「アルゲリッチ絶賛」や「アルゲリッチ推薦」というキャッチもそろそろ見慣れてきました。ただ、一昔前は難曲をバリバリと弾きこなす若手をレコメンドしていたように思いますが、昨今は正統な解釈を持つ円熟前の技巧派タイプを推すことが多いように感じられます。
 さて、ゲルナーはまさに正統派タイプの一人と言えるでしょう。じっくりと呼吸を整えながらも、上手いタイミングでアゴーギクをかけます。ロ短調ソナタはテクストとは無関係な声部の強調や、エネルギッシュなフォルティシモで自己主張しています。胃痛がするような緊迫した空気を避け、全体として口当たりがよくなるように仕上げています。調性のないバガテルはシンプルな音型とその残響に対する鋭敏な感性に優れています。また、楽曲そのものの軽微な明るさを引き出していて、文字通り「予見的」です。バラード2番イゾルデの愛の死は充実した叙情表現を見せます。急速なトレモロ、オクターブ旋律ともに、抜群の安定感を誇っています。メフィストワルツは当盤随一の体当たりを見せていて、後半部へと向けてどんどんとボルテージが高まってしていきます。技巧的な粗さを露呈しながらもアーティキュレーションを重視する様に気概を感じます。

 

 

 




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