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Janina Fialkowska



  FRANZ LISZT - Janina Fialkowska

【邦訳タイトル】リスト集
【演奏者・録音】ジャニーナ・フィアルコウスカ 1997年
【カタログ番号】CBC Musica Viva 2-1035(輸入盤)
 1. メフィスト・ワルツ1番(リスト)
 2. 巡礼の年第2年補遺1番 ゴンドラを漕ぐ女(リスト)
 3. 巡礼の年第2年補遺2番 カンツォーネ(リスト)
 4. 巡礼の年第2年補遺3番 タランテラ(リスト)
 5. 6つのポーランドの歌1番 乙女の願い(ショパン=リスト)
 6. シェークスピアによるセレナーデ「聞け、聞け、ひばりを」(シューベルト=リスト)
 7. 超絶技巧練習曲5番「鬼火」(リスト)
 8. 超絶技巧練習曲12番「雪嵐」(リスト)
 9. 超絶技巧練習曲9番「回想」(リスト)
 10. 巡礼の年第2年6番 ペトラルカのソネット123番(リスト)
 11. 献呈(シューマン=リスト) 


 ハイペリオンレーベルの影響からか、カナダのピアニストと言えば今はアムランやヒューイットがよく知られていますが、このフィアルコウスカもカナダを代表するアーティストです。
 まずはジョイス・ハット盤に盗用されたメフィストワルツ。まるで女版マツーエフのようなテンポの良さが頭を揺さぶってきます。驚くべき速度で突き進む同音連打にピタッと吸い付いていくような細やかなパッセージは、まさに饒舌そのもの。ダイナミクスも懐深く、不用意に粒を殺すことはありません。巡礼の年補遺3曲もよく練られており、それぞれに濃淡のはっきりした快演です。ポーランドの歌セレナーデは直線的で、もう少し立体的なリズム感が欲しいところ。この分野は苦手なのでしょうか。鬼火は重音がやや曖昧ですが、無難に仕上げています。テーマにジワリジワリと迫りながらも展開を急ぐ雪嵐に対し、逆に回想では慎重にゆったりと時を吐き出すかのようです。献呈は、控えめの伴奏が音響のバランスを非常によく整えます。また、旋律の間でスルリと力が抜ける瞬間にほんのりと色気が出ています。緩急が明瞭で、かつ突き抜けたテンポと歌がある。こんな志向性を持っている人には特に価値が高い一枚でしょう。

 

 




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