HOROWITZ・CZIFFRA・GODOWSKY・BALAKIREV・LISZT
【邦訳タイトル】ホロヴィッツ・シフラ・ゴドフスキ・バラキレフ・リスト
【演奏者・録音】ラディスラフ・ファンゾヴィッツ 2005年
【カタログ番号】Diskant DK 0085-2 131(輸入盤)
1. カルメン変奏曲(ビゼー=ホロヴィッツ)
2. 星条旗よ永遠なれ(スーザ=ホロヴィッツ)
3. 結婚行進曲と変奏曲(メンデルスゾーン=リスト=ホロヴィッツ)
4. 「美しき青きドナウ」のパラフレーズ(J.シュトラウス=シフラ)
5. 「こうもり」の主題による交響的変容(J.シュトラウス=ゴドフスキ)
6. イスラメイ(バラキレフ)
7. ソナタ ロ短調(リスト)

意欲的プログラムが目を引く輸入盤です。直近ではスルタノフのような逸材を失い、ホロヴィッツフィーバーが以前のような隆盛をみせることはないですが、まだまだ途絶えません。
プログラム内容から期待する通り、手練れの演奏が続々と聴こえてきます。全体的にメカニズムの重心が定まっていて、安定感は抜群です。たっぷりとしたフレーズとフレーズのつながりはラグジュアリーな感触を持たせます。生演奏を見る機会があれば、ペダリングに注目したいところ。カルメン変奏曲は気だるいタッチのとその響きが異色です。星条旗よ永遠なれは快速テンポを刻む左手のリズムに対し、少しずつ打ち遅れのように追いかける右手の高速パッセージというアンバランスが楽しめます。こうもりは一部編集のあとが目立つのが残念ですが、跳躍に無駄な力が込められていないので、聴き手は多声の装飾ラインを抵抗無く受容することができます。イスラメイは8分33秒という演奏時間ですが、これも潤沢感が見事です。一度冷ましてから再度息吹を与えたようなアーティキュレーションが錯綜的な和音を鮮やかにコントロールします。リストのソナタは良くも悪くも丸みが強く、女性的な演奏です。
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