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Pyotr Dmitriev



  F.Chopin, S.Prokofiev, R.Wagner-F.Liszt - Pyotr Dmitriev

【邦訳タイトル】ショパン、プロコフィエフ、ワーグナー=リスト 
【演奏者・録音】ピョートル・ドミトリーエフ 1996年
【カタログ番号】music boheme COBMR 906069(輸入盤)
 1-4. ソナタ3番(ショパン)
 5-7. ソナタ8番(プロコフィエフ)
 8. 「トリスタンとイゾルデ」よりイゾルデの愛の死 S.447(ワーグナー=リスト)



 ショパンのソナタ3番は、冒頭の数小節が全楽章のクオリティを暗示することが多いのですが、出だしにおける気まぐれで掴みどころのない雰囲気が、1楽章の中盤にさしかかるころにはすっかり解消されています。間の置き方が豊かで、丁寧な音色に対するハイライトな録音の相性も良いです。(最終楽章は演奏時間の記載が3分29秒になっていますが、実際は5分29秒。)分離を意識しながらも、ゆっくりと、かつ丹念に曲線を描くような解釈です。ただ、ペダリングや粒の揃え方などの技術的精度は決して高くないので、細部に集中して耳を澄ますと色々と綻びが見えてきます。ドミトリーエフの奏法は、ショパンよりもプロコフィエフのソナタに合っているように思います。3楽章では、鍵盤をかなり強打しているのがわかるのですが、淡々としたリズムの中でも強弱が丁寧にコントロールされていて、作品が生来的に持つケバケバしさをぐっと抑制します。スピード感という意味では、たとえばガブリロフのそれなどとはまるで別の曲のように感じられるでしょう。トリスタンとイゾルデはロマン主義の王道を貫く演奏。フォルティッシモの大きさは、ショパンやプロコフィエフのソナタからすると期待を上回るものです 。

 




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