LISZT - Jean françois dichamp
【邦訳タイトル】リスト集
【演奏者・録音】ジャン・フランソワ・ディシャン 1998年
【カタログ番号】Lyrinx LYR 176(輸入盤)
1. 巡礼の年第1年4番 泉のほとりで(リスト)
2. 巡礼の年第2年7番 ソナタ風幻想曲~ダンテを読んで(リスト)
3. 巡礼の年第3年2番 エステ荘の糸杉にⅠ(リスト)
4. 詩的で宗教的な調べ7番 葬送曲(リスト)
5. 顕現1番(リスト)
6. 2つの演奏会用練習曲1番 森のざわめき(リスト)
7. 2つの演奏会用練習曲2番 小人の踊り(リスト)
8. バラード2番(リスト)

映画でモーツァルトの役柄を演じたことがきっかけでピアニストとしての道を歩むことになった若手ピアニスト。ライナーノーツによると、マガロフ、ペネティエらに学んだようです。
泉のほとりでは音が柔らかく、自然的オルゴールといった印象です。特に高音の響きが充実しています。ダンテソナタは休符を無視しがちで、ペダル残響で和音をつなぐ癖が気になるのですが、構築感は文句なく、よくまとまっています。エステ荘の糸杉には、あとに続く葬送曲に比肩するほどの迫力。身振りが大きく、力強い奏者の意気込みが感じられます。しかし、この1枚は後半の出来が気になります。顕現は主題でのトレモロがぐずついており、見せ場の抑揚に乏しいです。森のざわめきや小人の踊りはやや鷹揚に構えすぎで、機能美が引き立ってきません。ある程度の粒立ちを意識しないと、だらしなく聴こえます。不用意な音の脱落や、譜読みミスもあります。バラードも大味ですが、これはまだ快適なテンポに救われます。
全体的に自由度が高く、それでいて領分はしっかりと守るスタイルですが、曲によって少しずつ方針を変えるような、細やかな気配りがあるとよさそうです。
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