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Arnaldo Cohen



  LISZT : Funérailles, Rhapsodie espagnole, Vallée d'Obermann,
                            Sonata in B minor -Arnaldo Cohen

【邦訳タイトル】リスト:葬送曲、スペイン狂詩曲、オーベルマンの谷、ロ短調ソナタ
【演奏者&録音】アーノルド・コーエン 2003年
【カタログ番号】BIS CD-1253(輸入盤)
 1. 詩的で宗教的な調べ7番 葬送曲(リスト)
 2. スペイン狂詩曲(リスト)
 3. 巡礼の年第1年6番 オーベルマンの谷(リスト)
 4. ソナタ ロ短調(リスト)


 1972年ブゾーニコンクールで優勝しているコーエンは、オランダのリストコンクールの審査員や、教育者としての実績あるブラジル人ピアニストです。
 以前のリスト選では思索的な影や神経質な一面が見られ、個性派の印象が強かったのですが、この録音では恣意的な要素がうまく分散して解釈が均一化し、全体的にジェネラルな方向性へと導かれています。形式的な美感を重視している点は以前と変わりませんが、表現の厚みが増しています。ちょっとしたオスティナート展開部でのカンタービレも巧妙です。タッチの質は全く異なるものの、直感的にハフのスタイルを思い起こします。葬送曲オーベルマンの谷はオクターブ奏法や大胆なテンポ移行のリスクヘッジがしっかりしており、闊達でありながら十分に節度のある演奏に仕上がっています。ただ、ロ短調ソナタは神経質な音運びをしていた89年の録音に軍配が上がります。やはり、同一作品を複数回を録音するには、それだけの根拠が欲しいものです。
 これまでコーエンは主に大曲を録音してきましたが、少しずつ選曲の幅を広げるとまた違った側面が浮き上がってくるかもしれません。

 




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