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France Clidat



  LISZT :rapsodies hongroises, funérailles, consolation - France Clidat

【邦訳タイトル】リスト:ハンガリー狂詩曲、葬送曲、コンソレーション
【演奏者・録音】フランス・クリダ 録音年不明(1961年以前)
【カタログ番号】ACCORD 476 9146(輸入盤)
 1. パガニーニ大練習曲6番(リスト)
 2. 伝説2番 波を渡るパオラの聖フランチェスコ(リスト)
 3. 詩的で宗教的な調べ7番 葬送曲(リスト)
 4. コンソレーション3番(リスト)
 5. ハンガリー狂詩曲9番「ペストの謝肉祭」(リスト)
 6. ハンガリー狂詩曲8番(リスト)
 7. ハンガリー狂詩曲11番(リスト)
 8. 死のチャルダッシュ(リスト)
 9. 「リゴレット」のパラフレーズ(ヴェルディ=リスト)
 10. 巡礼の年第2年補遺1番 ゴンドラを漕ぐ女(リスト)
 11. 巡礼の年第2年補遺2番 カンツォーネ(リスト)
 12. 巡礼の年第2年補遺3番 タランテラ(リスト) 


 1976年にブダペストリストコンクール優勝し、世界初のリスト全集録音を手がけたリスト弾き。通称「マダム・リスト」。全集は総数でLP24枚分に上ったようですが、如何せんCDで再販されないので、私のような世代でクリダに馴染みを持つ人はほとんどいないのが実情です。(2011年再販)今回CD化された音源はLPを含めて初出のものもあるようで、かつ、発売年から言って奏者の全盛期を物語る貴重な一枚です。
 これまでクリダの音源では最も入手容易であった「ウィーンの夜会全集」(FORLANE・98年)とは随分と印象が違います。高速パッセージは鮮やかに粒を転がしており、気後れする感じがありません。微細ながらも傷は多く、メカニックの精度は決して高くありませんが、パッセージの綺麗な結尾処理、声部歌い分け、効果的なペダリング等々、音数の多い曲を弾き慣れている感覚があります。ヴィルトオジティを誘引するようなアグレッシブさに関しては「ほどほど」で、全般的に言えばやや平坦です。欲を言えば、ハンガリー狂詩曲9番、リゴレットパラフレーズと、見せ場でオクターブが重い首をもたげるじれったい箇所や、抑圧的なデュナーミクによるつかみどころの無い遠近感が残念です。
 シフラが後世に残るインパクトを残したのに対し、それに対抗できる圧倒的な存在感を示すのは難しかったといったところでしょうか。

 




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