DEBUT - SOPHIE CASHELL 
【邦訳タイトル】ソフィー・ケイシェル・デビュー
【演奏者・録音】ソフィー・ケイシェル 2008年
【カタログ番号】Universal UCJ 476 6459(輸入盤)
1. スケルツォ3番(ショパン)
2. ノクターン20番(ショパン)
3. バラード2番(リスト)
4-6. 愛の夢1~3番(リスト)
7. バラード1番(リスト)
8. 亡き王女のためのパヴァーヌ(ラヴェル)
9. 喜びの島(ドビュッシー)
10. 前奏曲1巻10番 沈める寺(ドビュッシー)
11. 前奏曲1巻12番 ミンストレル(ドビュッシー)
12. アイルランド歌謡による2つの変奏曲(マーティン)
ボーナストラック
13. モティ―ヴ・フォース Op.45(カプースチン)

リストのバラード1番は最近海外アーティストが積極的にレパートリーに入れている感があり、特にデビュー版での選曲というのはとても喜ばしく感じます。愛の夢も全曲録音です。若い世代が過去のピアニストたちの踏襲ではない選曲を積極果敢に選ぶことで、徐々にリスト新時代の扉は開かれていくことでしょう。
細部の響き一つ一つまで突き詰めるタイプではないようですが、スケルツォ3番はテンポを急がず、横の和声感が意識されています。バラード2番も15分をかけてじっくり料理していますが、メリハリのある展開を意識しているためか、体感的には遅い感じは受けません。バラード1番も急速部で冷静な音楽運びをしており、コーダとの繋がりに違和感のない上々な出来です。アゴーギクに関してはまだまだぎこちないような部分も見られますが、自分の力量内に納めている感じが逆に新鮮な印象もあります。喜びの島はあまり"喜び"が感じられません。沈める寺は逆に"沈み過ぎ"でしょうか。曲想の再現は不得手のようです。アイルランドの変奏曲はクラシックというよりポップスです。隠しボーナストラックのモティーヴ・フォースも奏者の何かを引き出すような作品ではないので、特筆することはありません。
全体として若さゆえの軽快な指周りや、思い切ったアイデアによる"見所"や"山場"を作って欲しいところです。
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