LISZT:Complete Hungarian Rhapsodies - Michele Campanella 
【邦訳タイトル】リスト:ハンガリー狂詩曲全集
【演奏者・録音】ミケーレ・カンパネッラ 1971-1973年
【カタログ番号】PHILIPS PHCP-9093-4(国内盤)
DISC1 ――――――――――――――――――――――――――
1. ハンガリー狂詩曲1番(リスト)カンパネッラ1972
2. ハンガリー狂詩曲2番(リスト)カンパネッラ1973
3. ハンガリー狂詩曲3番(リスト)カンパネッラ1972
4. ハンガリー狂詩曲4番(リスト)カンパネッラ1973
5. ハンガリー狂詩曲5番(リスト)カンパネッラ1971
6. ハンガリー狂詩曲6番(リスト)カンパネッラ1973
7. ハンガリー狂詩曲7番(リスト)カンパネッラ1973
8. ハンガリー狂詩曲8番(リスト)カンパネッラ1973
9. ハンガリー狂詩曲9番「ペストの謝肉祭」(リスト)カンパネッラ1973
10. ハンガリー狂詩曲10番「前奏曲」(リスト)カンパネッラ1973
DISC2 ――――――――――――――――――――――――――
1. ハンガリー狂詩曲11番(リスト)カンパネッラ1973
2. ハンガリー狂詩曲12番(リスト)カンパネッラ1973
3. ハンガリー狂詩曲13番(リスト)カンパネッラ1973
4. ハンガリー狂詩曲14番(リスト)カンパネッラ1973
5. ハンガリー狂詩曲15番「ラコッツィ行進曲」(リスト)カンパネッラ1973
6. ハンガリー狂詩曲16番(リスト)カンパネッラ1973
7. ハンガリー狂詩曲17番(リスト)カンパネッラ1972
8. ハンガリー狂詩曲18番(リスト)カンパネッラ1971
9. ハンガリー狂詩曲19番(リスト)カンパネッラ1972

良しにつけ悪しきにつけ、基準はあくまでジョルジュ・シフラなのだろうか?始終そのように詰問されているような圧力を感じるハンガリー狂詩曲鑑賞ですが、ジプシー風の楽曲にリスキーな躍動感をもたせるのがリスト弾きとしての甲斐性と考えるのかどうかについて、ここでは保留にしておきます。
コンパクトな表現を好むカンパネッラ。ウィーンの小サロン的な雰囲気を持ったハンガリー狂詩曲と言うべきでしょうか。複雑なリズムにも動じず、比較的軽やかに、そして静かに踊り続けるリズム、テクストに忠実なメロディライン、オクターブの波状的な抑揚など、いわゆる名人的な芸当が散りばめられています。小節毎に多くのドラマを詰め込むようなことは避けながらも、潜在的表現域の広さを覗き見させるような、ゆったりとしたテンポのとり方が魅力です。6番のフリスカ、9番の難所などでは弱冠メカニックの見どころに欠ける部分もありますが、7、8番などの注目されにくい作品へのアプローチは聞き手の好奇心を大いに掻き立てる良演です。技巧の安定した男性ピアニストがハンガリー狂詩曲全集に挑むケースが多いゆえに、この音盤が特に目立つということはないですが、全体的に小ざっぱりと洗練された一枚です。
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