LISZT :PIANO WORKS - Vladimir Bunin 
【邦訳タイトル】リスト:ピアノ作品集
【演奏者・録音】ウラディミール・ブーニン 1997年
【カタログ番号】hanssler CD 94.051(輸入盤)
1. 詩的で宗教的な調べ7番 葬送曲(リスト)
2. 6つの旋律1番 さようなら S.563-1(シューベルト=リスト)
3. バラード2番第1版 S.170a(リスト)
4. 巡礼の年第2年1番 婚礼(リスト)
5. 愛の夢3番(リスト)
6. 超絶技巧練習曲10番(リスト)
7. 灰色の雲 S.199(リスト)
8. 巡礼の年第2年6番 ペトラルカのソネット123番(リスト)
9. ハンガリー狂詩曲6番(リスト)
10. 忘れられたワルツ1番(リスト)
11. コンソレーション3番(リスト)

ブーニンと言えばスタニスラフ・ブーニンが有名ですが、こちらウラディミール・ブーニンも影に隠れては勿体ない演奏家です。演奏スタイルにはやや癖がありますが、濁りの少ない響きが清潔な印象を与えます。
難所で涼しい顔をしているのがそのまま伝わるような、直線的で無愛想な演奏です。テンポ設定を含めて剛直さが先行し、ロマン派的な詩情の余地から言うと若干しなやかさには欠けるかもしれません。ただ、厳格とも言えるような基本的体裁を一貫して守るわけではなく、移り気ぽい恣意的な表現をバランスよく盛り込むあたりが興味深い個性です。また、基礎メカニックに余裕があるからか、コンパクトにまとめられながらも奥行きが感じられます。選曲も通り一編ではなく、特にバラード2番を初版で弾いているのには刮目すべきでしょう。例の陽気な結尾部はハワードよりもゆったり処理されていて自然です。初版の価値を再考せずにはいられません。かと思えば、超絶技巧練習曲10番は珍解釈が続出。神出鬼没のスタッカートやアッチェレランド、奏者の無邪気な一面が既成概念を打ち破ります。ハンガリー狂詩曲6番はラッサンとフリスカの対比関係が少なくて物足りないですが、見せ場では低音補強の工夫があります。総じてプロの遊び心を楽しめる一枚です。(この盤はCD 98.183の廉価再販です)。
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