RAFAL BLECHACZ piano recital 
【邦訳タイトル】ラファウ・ブレハッチ・ピアノリサイタル
【演奏者・録音】ラファウ・ブレハッチ 2005年
【カタログ番号】Accord ACD 136-2(輸入盤)
1-4. ソナタ2番(シューマン)
5. 2つの演奏会用練習曲1番 森のざわめき(リスト)
6. 3つの演奏会用練習曲2番 軽やかさ(リスト)
7. 2つの演奏会用練習曲2番 小人の踊り(リスト)
8-11. ベルガマスク組曲 1~4番(ドビュッシー)
12-24. 変奏曲 Op.13 (シマノフスキ)
25. ポロネーズ6番「英雄ポロネーズ」(ショパン)

前回ショパンコンクール優勝者として、まだ記憶に新しいと思います。しかし、2005年度は日本人勢の大健闘が目を引いていたためか、ブーニンはもちろん、ユンディ・リの人気にも遥かに及びませんでした。軸が決してぶれない高尚な音作りを基調としているため、若干地味な印象を受けるのですが、メカニックの精度や音楽的な完成度という観点で言えば、大家ツィマーマンクラスに及ぶものと言っても過言ではないでしょう。
常に抜群の安定感を誇るアゴーギクやデュナーミク。「完璧な音楽」は偏執的で一義的な魅力に過ぎないとさえ言われかねない昨今ですが、スケール一つ一つの美しさ、リズムニュアンスの捉え方など、緻密さの積み重ねが最高のパフォーマンスを生んでいます。ピアノより先にオルガンを奏していたということもあり、長めで均一な打鍵も好ましい特徴の一つです。シューマンのソナタ、リストの練習曲とも突き抜けた主張はありませんが、微細なテンポの変容や場面転換部の浮遊感が独特です。シマノフスキの変奏曲はショパンのような入り組んだ和声に加えてメンデルスゾーン風の厳格な古典的ロマンシチズムを湛える作品です。シマノフスキの作品中でも割と演奏機会に恵まれない作品ですので、選曲そのものに最敬礼を尽くしたいところですが、充実した演奏内容がさらに絶大な付加価値を付けてくれます。最後を締めくくる十八番のポロネーズ6番も幾重にも年輪を重ねた巨木のように悠然としており、不動のレパートリーとして確立しています。驚くほど汎用性の高い技術を備えたピアニストです。
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