HYMNE À LA NUIT LISZT PIANO MUSIC - Jean-Efflam Bavouzet 
【邦訳タイトル】夜の賛歌/リスト:ピアノ作品
【演奏者・録音】ジャン=エフラム・バヴゼ 2005年
【カタログ番号】MDG 604 1350-2(輸入盤)
1. 祈り S172a/1(リスト)
2. 夜の賛歌 S172a-2(リスト)
3. 子守歌 S198(リスト)
4. 眠れぬ夜!問いと答え S203(リスト)
5. 演奏会用大独奏曲 S176(リスト)
6. 調性のないバガテル S216a(リスト)
7. 3つの葬送頌歌2番 夜 S516a(リスト)
8. 葬送前奏曲と葬送行進曲 S206(リスト)
9. 朝の賛歌 S172a-3(リスト)
10.「トリスタンとイゾルデ」~前奏曲(ワーグナー=コチシュ)
11.「トリスタンとイゾルデ」~イゾルデの愛の死(ワーグナー=リスト)
12. ノクターン~夢の中で(リスト)

近年ラヴェルの独奏曲全集で評判になったバヴゼ。こちらは演奏会用大独奏曲を中心にすえたコアなリストプログラムです。祈り、夜の賛歌、朝の賛歌と、「詩的で宗教的な調べ」の第1群(初期連作)が組み込まれており、積極的なレパートリー開拓盤と言えます。
演奏のクオリティはプログラムの凝りように適うものです。響きはややぼけ気味ですが、洗練されたフレージングと、器用に変化する音色が相互に味わいを深めます。縦横に広がりをもつデュナーミク、特にテーマ部分での伸縮が見事です。和声の造形美を忠実に伝える静謐な賛歌の美しさ、そして、さらに驚くべきは演奏会用大独奏曲の音楽的完成度。磨き抜かれたオクターブ技巧を駆使し、執拗なパッセージを趣味良く説き伏せていく連続的な快速感がたまりません。模範演奏の域を超えます。
全体にわたって、押しにも引きにも強い重量コントロールが冴えていて、作風に対する向き不向きのない壮観な技量です。また別のリスト選のリリースが待ち望まれます。
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