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Agustin Anievas


  RACHMANINOV, CHOPIN, LISZT - Agustin Anievas

【邦訳タイトル】ラフマニノフ:前奏曲 ショパン、リスト:ソナタ
【演奏者・録音】アグスティン・アニエヴァス 1970-1974年
【カタログ番号】EMI 7243 5 69527 2 0(輸入盤)
 DISC1 ―――――――――――――――――――――――――― 
 1-4. ソナタ3番(ショパン)
 5.  W.R.の主題によるポルカ(ラフマニノフ)
 6-8. 3つのノクターン(ラフマニノフ)
 9.  ソナタ ロ短調(リスト)
 DISC2 ―――――――――――――――――――――――――― 
 1.  前奏曲 Op.3-2(ラフマニノフ)
 2-11. 前奏曲 Op.23 1~10番(ラフマニノフ)
 12-24. 前奏曲 Op.32 1~13番(ラフマニノフ) 


 ロシア勢と比較し、アメリカは中道的なピアニストを比較的多く輩出しています。「中道」と一口にいってもその層は非常に厚く、たとえばカペル、オールソン、ペライアなどはしっかりと評価されている一方、フライシャー、グラフマン、ジャニス、ブラウニングなどの往年の腕利き達は既に忘れられ始めている印象があります。アニエヴァスもまさにその一人でしょうか。今回の音源も、3人の作曲家それぞれの意図した感興に即して趣味良くまとめあげられていますが、その巧拙についてじっくりと語られることがほとんどないのは残念です。
 居心地のよい温かみのある雰囲気をベースにしながらも、見せ場では低音から引っ張りあげるような抑揚と、緊張感のコントロールが見事です。極端な表現や万能なメカニックに結果を求めるのではなく、大局を掴んだ素直な演奏です。響きを泳がせたり逃がしたりして巧みに立体感をつけるような技術には新鮮さがあります。リストのソナタは僅かな瑕もありますが、リリカルで秀逸な構成。ラフマニノフの前奏曲も細かいパッセージやオクターブ連打の粒が若干甘くなったりする特徴はありますが、作品一つ一つの趣旨が浮かび上がるメロディラインのつながりとビビッドな雰囲気に優れ、通して聞くのに特に最適な全集です。

 




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