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Géza Anda


  Liszt・Bartok・Delibes-Dohnanyi - Géza Anda

【邦訳タイトル】リスト、バルトーク、ドリーブ=ドホナーニ
【演奏者・録音】ゲザ・アンダ 1954年
【カタログ番号】TESTAMENT SBT 1067(輸入盤)
 1-8. ソナタ ロ短調(リスト)
 9.  メフィスト・ワルツ1番(リスト)
 10.  3つの演奏会用練習曲3番 「ため息」(リスト)
 11.  パガニーニ大練習曲3番「ラ・カンパネラ」(リスト=ブゾーニ) 
 12-14. ソナチネ Sz55(バルトーク)
 15.  「コッペリア」のワルツ(ドリーヴ=ドホナーニ)

  


『短くも美しく燃え』という映画のサウンドトラックで使われたモーツァルトの協奏曲21番2楽章で有名になったアンダですが、ハンガリー出身ということでバルトークやリストも得意としていました。テスタメントシリーズにあるベートーヴェンやショパン集では堅実さが目立ち、お世辞にも面白い演奏とは言えませんが、リスト作品集のこの一枚は一味違います。
  まずロ短調ソナタは軽妙なアクセントとフレージングに優れており、濃淡のはっきりした仕上がりになっています。基本はメゾピアノ進行ですが、細やかなパッセージではダイナミックレンジの広さを見せます。急なアチェラレンド、フォルテシモで弾きっ放しになるようなことがなく、知性派ならではの鍵盤コントロールと創意工夫が見られます。メフィストワルツもリスクヘッジとは無縁の快演ですが、なんと言ってもこの盤で一番注目すべきはリスト=ブゾーニのカンパネラ。明確にヴィルトオジティへの志向性が表れていて、見せ場がふんだんに盛り込まれています。同質性が極められた音階やトリル、あるいは最高レベルの敏捷性を誇示しているというわけではありませんが、往年のリヒテルに似たスリル感が爽快。バルトークでは機敏なペダルが小洒落ています。最後を飾るコッペリアのワルツはドホナーニ自身の演奏を凌ぐ出来。情感と躍動感が両立したサロン風好演です。  

 




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